ベースボール・イズ・ライフ

野球好きによる野球好きのためのブログ。千葉ロッテマリーンズの試合回顧や野球評論など。

なぜ県営大宮球場が西武ドームを上回ったのか?

 

2023年4月13日、埼玉西武ライオンズが約4年ぶりとなる県営大宮球場での公式戦を行った。

 

結果としては2-0で勝利。千葉ロッテマリーンズのファンである私からすれば悔しい一戦となったのだが、会場は大盛況となった。

 

この試合の観客動員数は、なんと17,552人

 

人数だけ見れば大したことのない数字だと思われるかもしれないが、県営大宮球場の収容人数が20,500人ということを考慮するとほぼ満員と言っていいだろう。

 

また、前々日、前日に行われた本拠地である西武ドーム(現:ベルーナドーム)での試合の観客動員数と見比べると、この数字の異常性が際立つ。

 

4月11日:9,201人

4月12日:9,009人

 

ちなみに西武ドームの収容人数は31,552人。収容率僅か3割にも満たない残念な結果となった。言わずもがな、西武のみならず本年度NPB全体でもワースト観客動員数の2TOPなのである。

 

一方で、収容人数が1万人も少ない大宮での開催は約2倍となる集客に成功した。共に平日ナイター開催という同条件ながら、どうして観客動員数の逆転現象が起きたのだろうか。

 

結論から言えば、西武ドームのアクセス問題と西武ドーム特有の構造上の問題が大きく関わっていると言えるだろう。

 

 

 

 

西武ドームのアクセスの悪さ

 

西武ドームは元々西武園球場と呼ばれており、その場所をクラウンライターを買収したタイミングで本拠地とし、西武ライオンズ球場となる。以降、西武遊園地などを始めリゾート化に着手してきた。

 

しかし、今の野球場の流れはボールパーク化。街の中に球場があって球団だけでなく地域で街を作り人を呼ぶのがメインストリームなのに対し、人の少ない山奥での西武グループだけによるリゾ-ト化は時代錯誤としか言いようがない。

 

また、西武ドームのある所沢市の人口は2022年時点で342,535人。埼玉県内でも4位。これに対し、県営大宮球場のあるさいたま市の人口は1,324,591人。この数字は勿論県内1位で、所沢市と比べても軽く4倍以上の差がある。

 

また、所沢市よりも人口の多い川口市(2位)、川越市(3位)から県営大宮球場へのアクセスは容易なのも利点と言える。その一方で、これらの埼玉都心部の地域から西武ドームへのアクセスは難しく、同じ埼玉県内にある西武ドームよりも東京都の神宮球場や東京ドームの方が行きやすいという問題が生じている。

 

県営大宮球場での地方開催という表現は語弊があり、むしろ西武ドームの方が地方開催に相応しく思えてしまうのは私だけだろうか。

 

 

 

西武ドームはなんちゃってドーム

 

前述した通り、西武ドーム西武ライオンズ球場を改修した球場である。それも、ただ野外球場に屋根を付けただけというとんでもない構造なのだ。

 

元々雨天による開催中止が相次いでいたことから、屋根付きのドーム化かもしくはお台場への本拠地移転も噂されていたという。しかしながら、西武鉄道の減収などを懸念したことから後者の案は頓挫。異例のドーム化に踏み切る。

 

ただ、この屋根付き球場は新たに大きな問題を生むことになる。それが夏はことごとく暑く、冬はことごとく寒いという異常気象である。

 

本来東京ドームなどのドーム球場は空調設備が整っているため、気候に左右されずに快適に野球ができ、野球観戦が楽しめるというのが大きな売り文句となる。

 

しかし、この西武ドームなんちゃってドームなため、空調は当然存在しない。壁はないので熱気は逃げずに、雨風は容赦なく降り注ぐ。むしろ野外球場よりも不便なのだ。

 

そのためか、特に開幕してから春先の集客に毎年のように苦戦する。今回の1万人を割った観客動員数は偶然の産物ではないのだ。

 

この点でも県営大宮球場とは雨天時に開催できるという点だけは優れているものの、その他ではむしろ勝っているとも言えないことがわかる。西武はここ数年力を入れて西武ドームの改修に取り組んでいるものの、このなんちゃってドーム問題を解決しない限りは、抜本的な改革とはならないだろう。

 

 

 

県営大宮球場の将来性

 

埼玉都心部に位置し、西武ドームより立地面で大勝している県営大宮球場。この球場の問題点はやはり老朽化である。

 

開場は1934年。日米野球こけら落としで、かのベーブ・ルースルー・ゲーリッグらもプレーしたという由緒正しき歴史ある球場なのだ。一旦旧球場は撤去された後、1992年に改築して現在の県営大宮球場に至っている。

 

それでも、NPBの公式戦を行う球場としてはあまりに設備が古い。またスタンド席も手狭である。特に外野スタンドは隣接するサッカー場との関係もあって満足に整備されておらず、よって満員状態でも2万人弱しか入れない球場となっている。

 

これらの問題を解消する新球場が生まれるかもしれない。2022年3月には「大宮スーパー・ボールパーク構想」*1なるものが策定され、県営大宮球場も建て替えかもしくは大規模改修をする案も出ている。実際に動き始めるのはまだ先だろうが、未来は明るいと見て良いだろう。

 

西武ドームは遠いけど、大宮なら近いし行けるな」

 

そんな人達が少なくないからこそ、今回の観客動員数の逆転現象が起きたのではないだろうか。埼玉の地域密着を考えると、埼玉西武ライオンズにとってこの県営大宮球場は大きな意味を持つと思う。

 

まずは年1回の大宮開催から月1回の大宮開催になって欲しいし、いずれはオリックスにおけるほっともっとフィールド神戸のような純然たる準本拠地として機能してもらいたい。大宮で盛り上がれば、西武ドームの集客面にも繋がるはずだ。